2020年も残りわずか。
例年に増して、外が冷え込む今年の冬。
今朝も寒さが元気よく起こしに来るが、布団の優しさに甘えて起き上がることができない。
寒さの厳しい冬ではあるが悪いことばかりではない。
むしろいいことが多いのだ。
澄んだ空を一瞬にして赤く染める朝日。
活動的な鳥のさえずり。
新聞配達のバイクの音。
白く濁った吐息。
冬の寒さは、何気ない日常をドラマティックに変えてくれる力があるのだ。
そんなドラマティックな冬の朝を更にドラマティックにしてくれるものがある。
それは珈琲だ。
世の中がまだ眠っている早朝。
私はコーヒーを淹れる。
ビンの中でカラカラとなる豆の音。
ミルで豆を挽くときのゴリゴリという音。
部屋中に響く音が、サウンドトラックのように心地よさを演出してくれる。
極めつけはお湯を注いだ時。
部屋の壁紙が珈琲色に染まりそうなほど香り引き立つこの瞬間が、私を眠気から解放してくれる。
珈琲を淹れるだけで、まるで映画のワンシーンに迷い込んだ錯覚すらある。
錯覚なのか、寝ぼけなのか…。
詳細は私にもわからない。
私が朝にコーヒーを飲むように、他の人は他の人なりの過ごし方をしているのだろう。
目覚ましと戦う朝。
布団とこたつをはしごする朝。
熱々のトースターを頬張る朝。
どれをとってもやっぱり冬の朝はドラマティックを演出してくれる。
珈琲を飲みながら、窓の外に目をやると空が色付き始めていた。
パステルカラーに染まる空に、飛行機が1台。
こんなにも早くどこへ行くのだろうか。
「今は海外には行けないから、国内線かな?」
「今旅行に行けるなら、沖縄で夏を感じたいな。でもやっぱり博多でもつ鍋もいいな」
そんなくだらない事を空想する冬の朝。
まあこれ、フィクションなんだけどね笑
to be continue…